What a lovely day!! 「マッドマックス 怒りのデス・ロード」

ツイッタ―を見ていると局地的に流行しているので、
普段映画館には贔屓のアニメぐらいしか見に行かない私が
アクション洋画「マッドマックス 怒りのデス・ロード」を見てきました。

まあ好きな人はほぼ既に見てらっしゃると思いますが、物書きリハビリも兼ねてあらすじや感想などを。



舞台は、核汚染を経て荒廃した近未来。
人間の寿命は縮み、健康体の人間の存在は貴重なものとなっていた。
そんな荒涼とした砂漠で、水と緑のある集落、ガスタウンを支配するイモータン・ジョー。
女たちを「産む機械」として管理下に置き、民衆を虐げ独裁政治を築いていた。
だがそこで一人の女隊長、フュリオサが立ち上がる。
女性を連れ、自身の故郷である「緑の地」への逃亡を企てるのだ。
ジョーの手下である戦闘部隊「ウォーボーイズ」や幹部たちは、フュリオサ一派を連れ戻すべく追跡を開始。荒野での闘いが幕を開ける…。


シリーズ4作目の主役であるマックスだが、本作では健康体のO型成人男性という貴重な「輸血袋」として捕えられる。
当初は追っ手であるウォーボーイズに連行されているが、そこから逃げ出し、フュリオサらと手を組むことになる。要するに主人公でありながらマックスは巻き込まれ要員である(もちろん、主役としてちゃんと重要な位置ではあるが、フュリオサとのW主役といったところ)。


改造に改造を重ねた魔改造車がバンバン出てきて、荒れ地を爆走する。
クルマは神とあがめられ、ウォーボーイズらは「V8!V8!」と、8気筒エンジンを讃える。
その闘いの中で死ぬことが名誉とされている。
ジョーを頂点とする、一種のカルト宗教的な集団となっているのだ。
ウォーボーイズのルックスはさながら暗黒舞踊のような白塗りで、ジョーは呼吸器などを患っており、なかなかの世紀末感が漂う。
冒頭、「輸血袋」として捕えられるマックスのシーンは結構おぞましいので、あまりこういった作品を見ない人は要注意だ。
しかし、フュリオサが取引のためにクルマを降り、女性たちが登場するあたりでこの世界観に慣れてくることだろう。ここからはもう、最後までクライマックスを楽しむだけだ。


ありていに言えば「自由を手にするための闘争(逃走)」がテーマ。
特に女性が「私たちはモノじゃない!」と叫ぶあたり、ハードなアクション映画ではあるが、女性もガッツリ感情移入できるストーリーとなっている。
マックスが不器用ながら、女性たちの決断の背中を押すシーンはぐっとくる。
女性たちは皆美しくキラキラしているが、一等かっこいいのはやはりフュリオサ。
女戦士の中の戦士である。


カーチェイスをする中で、マックスともう一人、ウォーボーイズの一員であるニュークスという若者が、フュリオサ一派に加わる。このニュークスがまたかわいいのだ。
語彙のない若者だが純真でまっすぐ、またクルマの知識には長けていてドライビングテクニックもある。
逃亡する女性の一人と心を通わせるシーンは、体の関係で縛り付けられていたジョーからの逃亡と対照的に描かれており、心が洗われる。


追っ手たちから逃れ、故郷の人々と7000日以上ぶりに再会を果たすフュリオサだが、故郷は汚染され、緑の地は過去のものとなっていた。
支えだった「緑の地」がなくなったことに絶望するフュリオサ。
泣き崩れるフュリオサの姿と、美しい砂漠の風景との対比が、悲しくやるせない。
塩湖を160日かけて走り、さらに前へ進むと宣言するフュリオサだったが、これまで彼女たちに何も言わなかったマックスは、驚くべき案を提示する。
追走により手薄になっているガスタウンへ戻り、その覇権を掌握することこそがあるべき姿だと言うのだ。フュリオサは悩んだ末(まあ映画の中ではそれも一瞬)、マックスの提案に乗ることに決める。再びウォーボーイズとの闘いが始まる…。


ツイッタ―では「IQが5になる」などと空っぽ映画ぶりが強調されている。
確かにわりと頭空っぽ予備知識なしで見て楽しめるアクションが目玉ではあるが、ちゃんとストーリーはあるし、しかもそれがとてもわかりやすいので、とても熱くなれる。
少年マンガ的な熱い展開だ。それぞれの生き様などにもぐっとくるし感情移入もできる。
しかしやはりそれを上回るのがアクションだ。
しかも基本的に小休止の部分がほとんどなく、ほぼ2時間が爆走シーン。
かなりバンバン人が死んでいくし、フュリオサ一派からも死んでいくので、そこまで「痛快」なシーンばかりではないのだが、CGを多用することなく、爆発シーンや戦闘シーンの撮影がこの時代に行われたことに感動せずにはいられない。それがもうすごい。


そして何より私のお気に入りは、ウォーボーイズを鼓舞する楽団、ドゥーフ・ウォーリアーだ。
砂漠を改造車で爆走するのだから、残念ながらバグパイプでは聞こえない。
だからといって、あんなにアンプやスピーカーを積んだクルマがあるか!?
赤い衣装をまとい、命綱をつけた盲目の男が、戦意高揚のためにギターをかき鳴らすのだ。
太鼓部隊もいる。ギターのヘッドには火炎放射器がついており、火を噴く。
このビジュアルの強烈さが凄まじい。これを見るだけでも映画館に行く価値がある。


いろいろ言いたいことはあるが結論。100点満点中1200点。我が家のギターにも火炎放射器をセットしたい。